鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
23 優しい人
城から帰り着き自室に戻ったオデットは上位竜イクエイアスの圧倒的な魔力を以て、肉体に埋め込まれていたというのに、何の傷も残すことなく、この身から離れたばかりの幾つかの宝石を手の平に広げて眺めた。
物言わずにきらめいている宝石は、どんなに言葉を飾ったとしても、この身を縛っていた外れることのなかった鎖に他ならなかった。
(これを、どうにかして外すことが出来たのも……全部全部、何もかもをキースがしてくれた。そのための代償すらも、あの人は肩代わりをして。私は、優しいあの人に、何をどうやって返すことが出来る……? 与えられるだけでは、きっと関係はダメになってしまう……私にも、キースのために出来ることは何なんだろう……)
溜め息をついて宝石を小さな布袋に、仕舞い込む。
暫くの間は、せっかく外すことの出来たこれも、ポケットの中に入れて、共にあらねばならない。
物言わずにきらめいている宝石は、どんなに言葉を飾ったとしても、この身を縛っていた外れることのなかった鎖に他ならなかった。
(これを、どうにかして外すことが出来たのも……全部全部、何もかもをキースがしてくれた。そのための代償すらも、あの人は肩代わりをして。私は、優しいあの人に、何をどうやって返すことが出来る……? 与えられるだけでは、きっと関係はダメになってしまう……私にも、キースのために出来ることは何なんだろう……)
溜め息をついて宝石を小さな布袋に、仕舞い込む。
暫くの間は、せっかく外すことの出来たこれも、ポケットの中に入れて、共にあらねばならない。