鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
(キースや、あの砦に居る皆を救いたい。私を守ってくれた人たち、いつか救いたいとあの時に言った。それは……もしかしたら、今なのかもしれない)

 オデットにとって、キースも彼らも掛け替えのない存在だった。自分はどうなったとしても、絶対に彼らを救いたいという強い気持ちがあった。

「……セドリック。私に、考えがある。心が読むことが出来る貴方なら、何を思いついたかわかるよね? 行こう。もう、きっと……あまり、時間は残されていない。やってみないとわからないけど……上手くいくかなんて、わからないけど。とにかく……今は、これに賭けてみるしかないと思う」

 あまり鳴き声を聞いたことのなかったセドリックなのにオデットの決意を込めた言葉に肯定するようにキュウっと大きく一声鳴いて、先程自分たちが飛行してきた方向へと向きを変えた。

 セドリックは、オデットの言いたい事を正確に理解していた。すぐそこにある大きな草原に立ち尽くしているのは、どうにかして逃げようとしたオデットを何度も何度もその大きな手で捕らえたことのある鉄巨人。

「……セドリック! あの鉄巨人に、雷を落として!」

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