鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
(あの不気味な黒い大蛇だって、きっと異世界のもの。鉄巨人であれば、止めることだって出来るかもしれない。動いて、お願い!)
駄目押しするかのように、二度目の雷が巨体に落ちて不気味な駆動音が鳴り響き始めた。無数の歯車が回り出す、嫌な金属の音だ。
これを、ずっと恐れていた。けれど、今はこれを待っていた。
心の中に上手くいったという歓喜が湧いてきて、オデットは大きく息を吐いて叫んだ。
「私は、こっちよ! 早く……早く来て!」
あれから自分一人で逃げている時は、ただただ恐ろしかった。禍々しいあの怪物のようなものを、誰かを救うために使おうだなんて思いつきもしなかった。
(私は、あの時の……何も出来ない人形なんかじゃない。キースを……皆を救いたい。そのためにだったら、何だってする!)
「必ず助ける。キース……私を、信じて」
心得ているセドリックが、また向きを変えて砦への方向へと戻り飛行した。
オデットを縛る鎖の役目を果たしていた宝石を追い掛けて来た鉄巨人の、ズシンズシンという重い足音は周辺に鳴り響いた。
(間に合って……あの変な術が完成してしまう前に……お願い……)
駄目押しするかのように、二度目の雷が巨体に落ちて不気味な駆動音が鳴り響き始めた。無数の歯車が回り出す、嫌な金属の音だ。
これを、ずっと恐れていた。けれど、今はこれを待っていた。
心の中に上手くいったという歓喜が湧いてきて、オデットは大きく息を吐いて叫んだ。
「私は、こっちよ! 早く……早く来て!」
あれから自分一人で逃げている時は、ただただ恐ろしかった。禍々しいあの怪物のようなものを、誰かを救うために使おうだなんて思いつきもしなかった。
(私は、あの時の……何も出来ない人形なんかじゃない。キースを……皆を救いたい。そのためにだったら、何だってする!)
「必ず助ける。キース……私を、信じて」
心得ているセドリックが、また向きを変えて砦への方向へと戻り飛行した。
オデットを縛る鎖の役目を果たしていた宝石を追い掛けて来た鉄巨人の、ズシンズシンという重い足音は周辺に鳴り響いた。
(間に合って……あの変な術が完成してしまう前に……お願い……)