鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
26 お願い
「……久し振りだな。オデット」
まるで街中で会ったので声を掛けたと言わんばかりに気安い声を掛け、ガヴェアの魔法使い達の特徴である黒衣を纏った一人の男が空中に現れた。
宙に浮いている姿を視認してから、すぐにセドリックが反射的に攻撃を仕掛けようとしたのを止めた。その理由はしごく簡単で、彼に乗っているオデットもそれを理解していた。
男の身体は、まるで死人が現れる時に語られる幽霊のように、不思議に透き通っていたからだ。
(……ここには、存在はしていない。でも……魔法で、遠方からその姿をここに投影しているのね……)
オデットも、そういった便利な魔法が存在することは知っていた。ただ、これは魔力も相応に強く高位に上がれる程の魔法使いにしか使えないので、それを見る機会が今までに一度もなかった。
その透き通る男の姿を見て、嫌な表情になってしまう事は止められなかった。
「貴方……カイル……? 私に、何か用なの? 貴方の鉄巨人を使ってあの大蛇を退けたことなら、絶対に謝らないから」
黒いフードを目深に被り、顔はこちらからは見えない。だがその男にしては高い声は、良く知っていた。オデットが逃げ出せば、鉄巨人に連れ帰られる際に必ず見ていた嫌な顔だった。嘲るような笑顔を浮かべていた、大嫌いな男。
まるで街中で会ったので声を掛けたと言わんばかりに気安い声を掛け、ガヴェアの魔法使い達の特徴である黒衣を纏った一人の男が空中に現れた。
宙に浮いている姿を視認してから、すぐにセドリックが反射的に攻撃を仕掛けようとしたのを止めた。その理由はしごく簡単で、彼に乗っているオデットもそれを理解していた。
男の身体は、まるで死人が現れる時に語られる幽霊のように、不思議に透き通っていたからだ。
(……ここには、存在はしていない。でも……魔法で、遠方からその姿をここに投影しているのね……)
オデットも、そういった便利な魔法が存在することは知っていた。ただ、これは魔力も相応に強く高位に上がれる程の魔法使いにしか使えないので、それを見る機会が今までに一度もなかった。
その透き通る男の姿を見て、嫌な表情になってしまう事は止められなかった。
「貴方……カイル……? 私に、何か用なの? 貴方の鉄巨人を使ってあの大蛇を退けたことなら、絶対に謝らないから」
黒いフードを目深に被り、顔はこちらからは見えない。だがその男にしては高い声は、良く知っていた。オデットが逃げ出せば、鉄巨人に連れ帰られる際に必ず見ていた嫌な顔だった。嘲るような笑顔を浮かべていた、大嫌いな男。