鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない

27 失っても

「……キース! キース!」

 こちらを見上げている竜騎士団長の待つ砦の発着場にゆっくりと舞い降りた銀竜の鞍から、気を急いて慌てていたオデットは足場を踏み外し地面へ落ちて派手に尻を打った。

「オデット! 良かった! 怪我は、してないか……大丈夫か?」

 キースが血相を変えて駆け寄って、座り込んだままのオデットを優しく抱き起こした。

(なんとも……なってない? ……普段通りのキースだ! 生きてる!)

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