鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
「まあ……こうして、俺たち二人で許可をくれた理由を推理しても、真実はあの人に聞いてみなければわからないな。陛下は単に物凄く機嫌が良かったのかも知れないし、俺たちの思う理由なのかもしれない。まあ、王が何を思っているかなんて、特に関係はない。こうしてオデットの欲しかった結婚の許しが得られたなら、もうそれだけで良くないか?」

 キースはオデットの視線の先を見て、目を細めた。部下の安全を願ったのかもしれないし、彼らの行く先にある争いに何かを思ったのかもしれない。

 彼は大勢の竜騎士を統率する事を任され、ただ一人で全責任を背負っている。他人は想像するしかない重さがどれほどのものであるかも、その立場にあるキース本人にしかわからないだろう。

(私と居る時は、仕事の事を忘れてただゆっくりと寛いで欲しい……もしかしたら、最初からそうするべきだったのかもしれない。だって、キースは私は傍に居るだけで良いって、そう何度も言ってくれて居たもの)

 彼の役に立ちたい一心で、オデットは色んな事を覚え学んだ。

< 231 / 272 >

この作品をシェア

pagetop