鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない

　部下の人と夜の話をした事を暗に言われているようで、オデットは頬を赤くした。

「でっ……でも……もし。何かのお祝いとかでキースを、驚かせてみたかったら……どうしたら良いですか？」

　何もかもを明け透けに自分に相談しろと言われれば、それも出来ないこともあるかも知れないと、オデットは空を見上げて彼に背中を預けた。

　キースの鍛え上げられた肉体は、柔らかなクッションと同じとはいかないものの、人肌と肌が触れ合う気持ち良さがあった。

「また。答えるのが、難しいことを聞く。あー……俺が何も知らない振りをして、驚くのもおかしいしな。そうだ。そろそろ、オデットも同性の友達を作れば良いんじゃないか？　近所の部下の家には、同棲中の恋人やら既に結婚している奥さんやら、沢山住んでるんだ。そういう事は出来るだけ、同性から聞いてくれ。俺が軽率なだけの可愛い部下を、縊り殺す事件を起こす前に」

「……やきもちです？」

　軽く笑いつつ揶揄ってそう聞けば、キースは珍しくムッとして憮然とした顔になった。