鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
 そんな完璧とも例えられる男性と、何処か一部分だけだとしても張り合う事の出来る男性が何処か他に居るのかと、オデットは素直に驚いた。

「はは……それは、少し言い過ぎだろ。まあ、オデットは俺に対しては恋をしているという、高下駄を履いているという前提で言うと、一応はそんな奴は存在している。そして、最初はお互いはどうこう思っていなかったんだが、面白がった周囲から比較され何かと対抗していると思われることも多い。よく分からない現象だが、部下同士も自然と張り合っている」

「部下の人も……」

「向こうも、騎士団長だからな。お互い、部下は騎士なんだよ。そういう現状は、正直めんどくさくはある。本人はなんとも複雑な性格の持ち主だが、俺に対しては一応年上なのもあって敬意を持って接してくれてはいるようだ。たまに可愛い時があって面白くなって揶揄うこともあるが。特に俺は、嫌ったりはしてないな」

 その人を思い出すように、キースは空を見つめて顎を触った。

「キースに、良く似た立場……その人も、大変そうですね」

 オデットの素直な感想に、キースは苦笑して答えた。

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