鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
33 電撃(side Keith)
(もし、俺の今いる立場が羨ましく思い、俺と成り代わりたいと願う奴が居るのならば、重畳だ。今すぐにこの場所から退くから、どうぞ代わってくれ。何の未練もない)
キースが周囲から寄せられる羨望や嫉妬、鋭い針にも似た貴族たちの思惑に囲まれるようになった原因は、現王が「もう自分には、王太子となる息子を望めない」と諦めた時からだ。
一人しかいない直系の娘に継がせ、彼女を女王にして王配を求めるしかなくなった。だが、隣国から嫁いできた強い権力志向を持つ側室を母に持つ世継ぎの姫にそれをすれば、治世の中でようやく安定していた宮廷のバランスが壊れてしまう。
王は、政治的な観点から、同盟を組んでいる訳でもない隣国の影響力が強まっていくことを恐れていた。単なる形だけだとしても、世継ぎの姫に対抗が出来る存在は必要だ。
彼が自ら妻に迎えた愛している正妃の立場を、守るためでもあった。
今ではもうただの昔話という過ぎ去った過去の情報に過ぎないが、キースの父親である当時の王弟が、王家の血が濃くなり過ぎるという周囲の猛反対を押し切ってまで従姉妹にあたる母と結婚した。
キースが周囲から寄せられる羨望や嫉妬、鋭い針にも似た貴族たちの思惑に囲まれるようになった原因は、現王が「もう自分には、王太子となる息子を望めない」と諦めた時からだ。
一人しかいない直系の娘に継がせ、彼女を女王にして王配を求めるしかなくなった。だが、隣国から嫁いできた強い権力志向を持つ側室を母に持つ世継ぎの姫にそれをすれば、治世の中でようやく安定していた宮廷のバランスが壊れてしまう。
王は、政治的な観点から、同盟を組んでいる訳でもない隣国の影響力が強まっていくことを恐れていた。単なる形だけだとしても、世継ぎの姫に対抗が出来る存在は必要だ。
彼が自ら妻に迎えた愛している正妃の立場を、守るためでもあった。
今ではもうただの昔話という過ぎ去った過去の情報に過ぎないが、キースの父親である当時の王弟が、王家の血が濃くなり過ぎるという周囲の猛反対を押し切ってまで従姉妹にあたる母と結婚した。