鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない

34 月に、いつか手が届く。(side Keith)

 月魔法を今は使うことが出来なくなっているオデットは、成人してからの本格的な勉強に四苦八苦しながらも学ぶことを楽しみつつ、未知の世界の知識を吸収していくことに貪欲なようだった。

(若い時の、俺も……あれくらい勉強をすることに熱心になれていたら、良かったのかもしれない。まあ。無理か。自分で言うのもなんだけど。必要最低限しかやらない不真面目の権化みたいだったもんな)

 居間にある大きな机にいくつかの分厚い本を広げて課題を書き出しているオデットを見て、品行方正だったとは言い難い騎士学校時代の自分を思い出しキースは苦笑した。

< 266 / 272 >

この作品をシェア

pagetop