鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
まだ明るい昼日中だというのに信じられないくらいの光量が輝き、つんざくような稲光が響き渡った。走っていたオデットは思わず足を留めて、後ろを振り返った。
「っえ」
驚いたオデットの目の前には、いつも逃げた自分を追いかけて連れ帰ってしまう鉄巨人が微動だにしない。
巨大な身体はしゅうしゅうと嫌な音を立てて、そこかしこから白くて細い煙が立ち昇る。
「逃げているのか」
低い声が聞こえたのは、頭上。
見上げればいつの間にか、日光にきらめく鱗を輝かせる銀竜が、手を伸ばせば触れそうな距離にまで来ていた。
声の持ち主は、逆光で黒い影になって見えない。ただ、彼は長身で立派な体躯を持っていた。
竜を駆る。
ただそれだけで、彼の正体は一目瞭然だった。かの有名な竜に守護された隣国ヴェリエフェンディを護る、最強の名を欲しいままにする竜騎士団の一人。
「……助けて! 逃げたい!」
オデットは彼に、手を伸ばしてそう言った。それは、短い言葉だった。腰に軽い衝撃を感じたと思えば、オデットはもう空の上に居た。
「っえ」
驚いたオデットの目の前には、いつも逃げた自分を追いかけて連れ帰ってしまう鉄巨人が微動だにしない。
巨大な身体はしゅうしゅうと嫌な音を立てて、そこかしこから白くて細い煙が立ち昇る。
「逃げているのか」
低い声が聞こえたのは、頭上。
見上げればいつの間にか、日光にきらめく鱗を輝かせる銀竜が、手を伸ばせば触れそうな距離にまで来ていた。
声の持ち主は、逆光で黒い影になって見えない。ただ、彼は長身で立派な体躯を持っていた。
竜を駆る。
ただそれだけで、彼の正体は一目瞭然だった。かの有名な竜に守護された隣国ヴェリエフェンディを護る、最強の名を欲しいままにする竜騎士団の一人。
「……助けて! 逃げたい!」
オデットは彼に、手を伸ばしてそう言った。それは、短い言葉だった。腰に軽い衝撃を感じたと思えば、オデットはもう空の上に居た。