鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
家周辺に土地勘のないオデットが闇雲に走っても、どこに行けるという訳でもない。小さな公園にある長椅子に腰掛けて、しくしくと泣くしかなかった。
(情けない……怒鳴られたくらいで驚いて、泣いて……それに、キース様は心配してくれたのに、動転して何も言わずに飛び出してしまった。どう言って謝れば良いの)
突然の事態に対処も出来ずに飛び出して来てしまったものの、彼の元へと戻らなければいけないことはわかっていた。
けれど、キースは助けてくれた上に謝ってくれたと言うのに、そんな彼を何も言わずに放って出てきてしまった。そんな自分がどんな顔をして帰って良いのか、わからなかった。
(どうしよう。帰り難い……)
幼い頃からずっと物言わぬ人形のように扱われ、何もかもが不足なく過ぎるほどに与えられていた。オデットにはあんな風に心配した余りに怒鳴ってくれる人なんて、一人も居なかったのだ。
ふと気がつけば、隣にはセドリックが座っていた。
彼がいつの間にここに居たのかは、わからない。泣き止んだオデットが彼の方を見れば、いきなり訥々と言葉を発し始めた。
(情けない……怒鳴られたくらいで驚いて、泣いて……それに、キース様は心配してくれたのに、動転して何も言わずに飛び出してしまった。どう言って謝れば良いの)
突然の事態に対処も出来ずに飛び出して来てしまったものの、彼の元へと戻らなければいけないことはわかっていた。
けれど、キースは助けてくれた上に謝ってくれたと言うのに、そんな彼を何も言わずに放って出てきてしまった。そんな自分がどんな顔をして帰って良いのか、わからなかった。
(どうしよう。帰り難い……)
幼い頃からずっと物言わぬ人形のように扱われ、何もかもが不足なく過ぎるほどに与えられていた。オデットにはあんな風に心配した余りに怒鳴ってくれる人なんて、一人も居なかったのだ。
ふと気がつけば、隣にはセドリックが座っていた。
彼がいつの間にここに居たのかは、わからない。泣き止んだオデットが彼の方を見れば、いきなり訥々と言葉を発し始めた。