鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
08 留守
竜騎士団の団長キースは「当分の間は、何も知らないオデットの面倒を見る」という名目で、副団長アイザックや部下に仕事を振ったりと多忙の中で何とかやりくりして時間を作っているらしい。
だが、最高責任者である彼が延々と家の中に籠っている訳にもいかない。
この前、目を離した隙に危険に遭わせてしまいそうだったことを怒られているのか、キースがいない間もセドリックはオデットの近くに居るようになった。
最初の数日は気安い雰囲気とは言えない彼と共に居れば気詰まりかもしれないと構えていたものの、それはオデットの杞憂だったようだ。
セドリックはオデットがエミリーに習った料理を自分で試行錯誤しつつ再現しようとしている時も、自分は居間にあるソファに腰掛けてぼんやりとして黙ったまま思索をしているようだった。
時折気にするように視線を向けるものの、それは嫌なものではない。寡黙な彼にも慣れて仕舞えば、別に気にならなくなった。
その日は、オデットがエミリーに教わった通りに家で掃除をしていると、誰かがいきなり扉を開けて入り大きな音をさせて廊下を歩いて来た。
もしや不審者かもしれないとは、もう思わない。
その人が気安い同期の家に突然やって来る事は、オデットがこちらに住まわせて貰うようになってからもままある事だった。
「……おす」
出入り口から頭を下げて顔を出した彼の低い声が聞こえて、オデットは微笑んだ。
だが、最高責任者である彼が延々と家の中に籠っている訳にもいかない。
この前、目を離した隙に危険に遭わせてしまいそうだったことを怒られているのか、キースがいない間もセドリックはオデットの近くに居るようになった。
最初の数日は気安い雰囲気とは言えない彼と共に居れば気詰まりかもしれないと構えていたものの、それはオデットの杞憂だったようだ。
セドリックはオデットがエミリーに習った料理を自分で試行錯誤しつつ再現しようとしている時も、自分は居間にあるソファに腰掛けてぼんやりとして黙ったまま思索をしているようだった。
時折気にするように視線を向けるものの、それは嫌なものではない。寡黙な彼にも慣れて仕舞えば、別に気にならなくなった。
その日は、オデットがエミリーに教わった通りに家で掃除をしていると、誰かがいきなり扉を開けて入り大きな音をさせて廊下を歩いて来た。
もしや不審者かもしれないとは、もう思わない。
その人が気安い同期の家に突然やって来る事は、オデットがこちらに住まわせて貰うようになってからもままある事だった。
「……おす」
出入り口から頭を下げて顔を出した彼の低い声が聞こえて、オデットは微笑んだ。