鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
一度逃げ出せたという事実があるためか、流石に警戒して見張りの数が多くなっているのかもしれない。扉の前では話声もする。絶対に隙を見せるなと、命令をされているのかもしれない。
オデットを閉じ込めるための豪華な一室には、彼女一人だけしか居なかった。
幼い頃から権力者たちに奪い合われる存在であったオデットは「自分の所有者」の名前も顔も、認識することがどうしても出来なかった。小さな頃からそうだった。理由は、わからないままだ。
何かドス黒い影のようなもので顔が覆われて、はっきりとした輪郭が何故か見えない。孤独な心を守るための、防衛反応なのかもしれなかった。
悪魔のような人たちが、自分と同じような何か考えることの出来る人間ではなく、何かとてつもなく悪い存在だと思い込むことで何かを考える事を拒否しているのかもしれない。自分は利用されるだけ利用をされて、自由さえ与えられずに飼い殺される未来から目を逸らしたいのかもしれない。
(キース様は、今頃どうしているのかしら……私を探してくれているかもしれない……でも……もう、二度と会う事が出来ないかもしれない)
オデットを閉じ込めるための豪華な一室には、彼女一人だけしか居なかった。
幼い頃から権力者たちに奪い合われる存在であったオデットは「自分の所有者」の名前も顔も、認識することがどうしても出来なかった。小さな頃からそうだった。理由は、わからないままだ。
何かドス黒い影のようなもので顔が覆われて、はっきりとした輪郭が何故か見えない。孤独な心を守るための、防衛反応なのかもしれなかった。
悪魔のような人たちが、自分と同じような何か考えることの出来る人間ではなく、何かとてつもなく悪い存在だと思い込むことで何かを考える事を拒否しているのかもしれない。自分は利用されるだけ利用をされて、自由さえ与えられずに飼い殺される未来から目を逸らしたいのかもしれない。
(キース様は、今頃どうしているのかしら……私を探してくれているかもしれない……でも……もう、二度と会う事が出来ないかもしれない)