鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
「ええ……私は、幼い頃にガヴェアに売られ能力を利用され続けて来ました。それが嫌で、昔から何度も何度も逃げ出して……あの鉄巨人は、喚び出した魔法使いに私を追いかけるように命じられているんです。だから、私にとってはいつもの事だったんです。でも、逃げられたのは、これが……初めてです」
「……そうか。偉いな。普通なら、あれに追いかけられると思えば、恐怖を感じ逃げることすら諦める者も多いだろう。だが、そんなきつい状態でも諦めずに、尚逃げ出そうとした君に敬意を評する。俺の名は、キース。キース・スピアリットだ。見ての通り、竜騎士の一人で。とても不本意なことなんだが、国王より団長職も拝命している。俺がここに居たのは、ただの偶然だがあの恐ろしい存在から単独で逃げ出し草原を走る勇気を持つ、勇敢なお姫様を救出することが出来て良かったよ」
キースは安心させるように自らの身分を明らかにして、何の策もなく草原を走っていただけのオデットを労ってくれた。
(なんて、優しい人……私なんて、誰かもわからない。こうして、命を救ったとしても何も得もないかも……いいえ。むしろ厄介事しか連れてこないかもしれないのに)
「……そうか。偉いな。普通なら、あれに追いかけられると思えば、恐怖を感じ逃げることすら諦める者も多いだろう。だが、そんなきつい状態でも諦めずに、尚逃げ出そうとした君に敬意を評する。俺の名は、キース。キース・スピアリットだ。見ての通り、竜騎士の一人で。とても不本意なことなんだが、国王より団長職も拝命している。俺がここに居たのは、ただの偶然だがあの恐ろしい存在から単独で逃げ出し草原を走る勇気を持つ、勇敢なお姫様を救出することが出来て良かったよ」
キースは安心させるように自らの身分を明らかにして、何の策もなく草原を走っていただけのオデットを労ってくれた。
(なんて、優しい人……私なんて、誰かもわからない。こうして、命を救ったとしても何も得もないかも……いいえ。むしろ厄介事しか連れてこないかもしれないのに)