鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
「悪い。ちゃんと、言ってなかった。禍々しい運命から自分で逃げ出して来た、勇敢なお姫様。結婚を前提に、俺と付き合ってくれ。俺以上に、オデットを愛して自由を守れる奴は、別に慢心ではなく居ないと思う……何故なら、権力と武力の二つを持ち併せているから。片方だとしたら、敵わない奴も居るだろうがね……俺がここまで上り詰めた意味は、これから君を守るためにあったと思えば。呪うような過去の、何もかも。いつか、意味のあるものに変わるだろう」
キースの温かな手が頬に触れて、幸せな思いで心は満たされた。まるで心が適温のお湯の中を揺蕩うように、優しい気持ちが次から次へと溢れて来るのだ。
「私も……過ぎ去ってしまった過去の時間は、変えられないって理解しています。まるで心のない人形のように便利に扱われていた私も、こうしてキース様と一緒に居られたら。何もかも、報われる気がするんです」
キースに偶然助けてもらえた幸運を思い出すと、あの時にきっと無駄だとわかっていても逃げ出すことを諦めなかった自分によくやったと言ってあげたい。うっすらと涙を浮かべたオデットの顔をまじまじと見て、キースは微笑んだ。
キースの温かな手が頬に触れて、幸せな思いで心は満たされた。まるで心が適温のお湯の中を揺蕩うように、優しい気持ちが次から次へと溢れて来るのだ。
「私も……過ぎ去ってしまった過去の時間は、変えられないって理解しています。まるで心のない人形のように便利に扱われていた私も、こうしてキース様と一緒に居られたら。何もかも、報われる気がするんです」
キースに偶然助けてもらえた幸運を思い出すと、あの時にきっと無駄だとわかっていても逃げ出すことを諦めなかった自分によくやったと言ってあげたい。うっすらと涙を浮かべたオデットの顔をまじまじと見て、キースは微笑んだ。