鎖に繋がれた月姫は自分だけに跪く竜騎士団長に焦がれてやまない
 また、失敗してしまったと項垂れそうになっていたオデットは、彼の言葉に首を傾げた。

「楽しい……ですか?」

「ああ。楽しい。というか、好きになった女の子が、何をしてもしなくてもいつでも楽しいのか。なるほど。恋とは、不思議なものだな」

 しみじみとした口調で言ったキースに、オデットは笑った。

「恋……そうか。私。今、キース様に恋してるんですね」

「あー……うん。そういうオデットの事が、俺にはすごく可愛く思えるんだが。なんだが無垢な雛鳥を、騙しているような気持ちにならなくもない。真っ直ぐ過ぎて眩し過ぎるっていうか……あー。まあ、好きなんだな。俺もオデットに恋をしているみたいだ。つまり、これが両思い。お姫様、納得して頂けたか?」

「お姫様は、やめてください」

「そうしたら様付けを、やめてください。これで、おあいこだろ?」

「……キースさ……キース?」

 戸惑いつつも、彼の名を呼んだオデットをキースは軽い力で抱き締めた。

「そうだ。可愛いオデット。俺の唯一の人になってくれ」

「もうっ……治療させてください。こんな事……」

 それから先は、オデットの唇がキースの唇に塞がれてもう何も言えなかった。

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