だって、君は俺の妻だから~クールな御曹司は雇われ妻を生涯愛し抜く~
第八章 欲しかったあなたとの未来は永遠に
一度実家に戻り、私の荷物を持った久弥さんに続き、彼の車の助手席に乗り込む。エンジンをかけ、久弥さんはここに来るまでの話を始めた。
マンションに戻った久弥さんは、宣言通り私がいなくなっていたので慌ててその足で実家に向かったらしい。
ところがインターホンを鳴らしても人の気配はなく、それでいて玄関の電気は点いたままなので、近くにいるのではと探しに出て、あの公園で町原くんと一緒にいるところを見かけたそうだ。
「よく私だってわかりましたね」
彼の話を聞いてぽつりと呟く。夜で暗かったのはもちろん、私の髪はすっかり短くなっていた。髪を切ってすっきりした反面、心許なさも感じる。
すると彼の手が伸ばされ、私の頭に触れた。
「わかるさ。これでも瑠衣の夫で、夫婦なんだから」
彼の手のひらの温もりに逆に罪悪感が押し寄せ、私はうつむき気味になる
「髪、切ってごめんなさい」
「なんで謝るんだ?」
不思議そうに尋ねる久弥さんにしばし迷ったあと、おずおずと口を開く。
「久弥さんが、長くてまっすぐな髪が好きだと聞いて、私じゃなくてもいいんだって」
『十河さんの好みに合わせたのかと思ったの。寧々さんも以前、髪を伸ばしてまっすぐにされていたから』
勝手に嫉妬して、我ながら子どもじみた真似をしたと思う。でも久弥さんが好きだと言ってくれた髪が逆に苦しくなった。触れられた感触がいつまでも残っていて、この髪と共に彼への想いを断ち切りたかった。
マンションに戻った久弥さんは、宣言通り私がいなくなっていたので慌ててその足で実家に向かったらしい。
ところがインターホンを鳴らしても人の気配はなく、それでいて玄関の電気は点いたままなので、近くにいるのではと探しに出て、あの公園で町原くんと一緒にいるところを見かけたそうだ。
「よく私だってわかりましたね」
彼の話を聞いてぽつりと呟く。夜で暗かったのはもちろん、私の髪はすっかり短くなっていた。髪を切ってすっきりした反面、心許なさも感じる。
すると彼の手が伸ばされ、私の頭に触れた。
「わかるさ。これでも瑠衣の夫で、夫婦なんだから」
彼の手のひらの温もりに逆に罪悪感が押し寄せ、私はうつむき気味になる
「髪、切ってごめんなさい」
「なんで謝るんだ?」
不思議そうに尋ねる久弥さんにしばし迷ったあと、おずおずと口を開く。
「久弥さんが、長くてまっすぐな髪が好きだと聞いて、私じゃなくてもいいんだって」
『十河さんの好みに合わせたのかと思ったの。寧々さんも以前、髪を伸ばしてまっすぐにされていたから』
勝手に嫉妬して、我ながら子どもじみた真似をしたと思う。でも久弥さんが好きだと言ってくれた髪が逆に苦しくなった。触れられた感触がいつまでも残っていて、この髪と共に彼への想いを断ち切りたかった。