だって、君は俺の妻だから～クールな御曹司は雇われ妻を生涯愛し抜く～
　野菜たっぷりのミネストローネを温め、時間も時間なのでここにショートパスタを入れてメインにする。再びふたりで向き合って食事をするのがなんだか不思議だった。

「瑠衣、さっき車で言っていた話なんだが」

　食べ進めている途中で久弥さんから先ほどの話題を切り出され、無意識に背筋を正した。彼から告げられる内容はなんなのか、つい身構える。

「鎌田とはべつに付き合っていたわけじゃない」

　端的に続けられた言葉は、わずかに私を動揺させた。

「そう、なんですか？」

「信じてないな」

　私の顔色を読んだ久弥さんが、やや眉をつり上げる。

「まぁ、多少結婚について考えたのは事実だが」

　さらりと補足され、たったこれだけの会話で私の気持ちは浮かんだり落ちたりと忙しない。じっと久弥さんを見つめたら、彼はフォローするように続けていく。

「瑠衣にも話した通り、俺は打算的で、誰かに深入りするのも面倒に思っていた。だから完全に割り切れる彼女との結婚も悪くないと思っていた。鎌田本人にも俺は愛情を伴った結婚できないとは伝えていた」

　それでも鎌田さんは久弥さんと結婚したかったんだ。

「……鎌田さんなら久弥さんの欲しいもの、全部用意できますからね」

　苦い気持ちを隠して私はわざと明るく返す。

　久弥さんは、本当に鎌田さんを選ばなくてよかったのかな？　彼の気持ちを聞いた今でもかすかな不安がつきまとう。

　すると久弥さんは軽く息を吐いた。
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