だって、君は俺の妻だから~クールな御曹司は雇われ妻を生涯愛し抜く~
エピローグ
 純白のドレスが所狭しと並び、その光景はまさに圧巻だ。たじろぐ私をよそに、付き添った女性陣からは黄色い声があがる。

「まぁ、すごい。最近は一口にウエディングドレスと言ってもこんなに種類があるのね」

「どうやって選んだらいいのかしら? それにしても、娘のドレスを一緒に見に来られるなんて……」

 感極まりそうになる母の肩を、光子さんが優しくさすった。

 四月下旬。桜はすっかり散ってしまい陽気な日々が続く中、今日は私と久弥さんの結婚式に向けて衣装を決めるために会場にやってきた。

 退院した母と光子さんに声をかけたら、ふたりとも喜んでついていくと告げてきた。

 年齢も立場もまったく違うが、お互いに入院していた身であり、事業への寄付を申し出てくれた件もあって、ふたりはすぐに打ち解け盛り上がっている。

 ウエディングプランナーにいくつか質問され、私の好みや体形に合いそうなドレスを試着する流れになった。久弥さんは、フィッティングルーム手前の打ち合わせのテーブルで出されたコーヒーを飲みながら待っている。

『久弥はなにか意見ないの?』

『べつに。瑠衣はなにを着ても似合うんだから、瑠衣が好きなものを選べばいい』

 奥の部屋まで行って、一緒にドレス選びに付き合わないのかと光子さんが唇を尖らせ尋ねたら、そんな答えが返ってきた。ありがたいやら気恥ずかしいやら。結局私を含め女性三人でドレス選びに赴くことになったのだ。
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