だって、君は俺の妻だから~クールな御曹司は雇われ妻を生涯愛し抜く~
そこで車が私の実家の方ではなく、別の道を走っているのに気づいた。
「あの」
「ひとまず俺のマンションに向かっている」
私の顔色を読んだのか、さりげなく彼が答えた。目を丸くする私に、久弥さんは冷静に続ける。
「外でする話でもないだろう。それに、結婚を考えている間柄で家に行ったことがないのは不自然じゃないか?」
久弥さんの指摘はもっともで、少なくとも次に光子さんに会ったときに、家の話にもなりかねない。ここは彼に従うしかない。
ややあってたどり着いたのは、一等地にあるタワーマンションの地下駐車場だった。まるで展示場みたいに高級車が並び、煌々と照らされている。
久弥さんに促され車を降り、子どもみたいに彼のあとをついていく。どこまでも開けていて足音がやけに響いた。
外観からして立派で、ガラス張りのような壁に空の色が反射しキラキラして遠目からでも目立つ。それでいてモダンで洗練されたデザインはドラマにでも出てきそうだ。
私とはまったく縁のない世界で、駐車場の時点で場違いだと足がすくみそうになる。
そのとき先を歩いていた久弥さんが不意にうしろを振り返った。きょろきょろしすぎだったかと背筋を正すと、ごく自然に私の手を取る。
「え?」
思わず声が漏れて久弥さんを見たら、彼はゆるやかに口角を上げた。
「案内するよ、奥さん」
「ま、まだ入籍していませんが?」
大袈裟に反応してしまい、思わず彼の手を振りほどきそうになる。しかし久弥さんの手は想像以上に力強かった。
「あの」
「ひとまず俺のマンションに向かっている」
私の顔色を読んだのか、さりげなく彼が答えた。目を丸くする私に、久弥さんは冷静に続ける。
「外でする話でもないだろう。それに、結婚を考えている間柄で家に行ったことがないのは不自然じゃないか?」
久弥さんの指摘はもっともで、少なくとも次に光子さんに会ったときに、家の話にもなりかねない。ここは彼に従うしかない。
ややあってたどり着いたのは、一等地にあるタワーマンションの地下駐車場だった。まるで展示場みたいに高級車が並び、煌々と照らされている。
久弥さんに促され車を降り、子どもみたいに彼のあとをついていく。どこまでも開けていて足音がやけに響いた。
外観からして立派で、ガラス張りのような壁に空の色が反射しキラキラして遠目からでも目立つ。それでいてモダンで洗練されたデザインはドラマにでも出てきそうだ。
私とはまったく縁のない世界で、駐車場の時点で場違いだと足がすくみそうになる。
そのとき先を歩いていた久弥さんが不意にうしろを振り返った。きょろきょろしすぎだったかと背筋を正すと、ごく自然に私の手を取る。
「え?」
思わず声が漏れて久弥さんを見たら、彼はゆるやかに口角を上げた。
「案内するよ、奥さん」
「ま、まだ入籍していませんが?」
大袈裟に反応してしまい、思わず彼の手を振りほどきそうになる。しかし久弥さんの手は想像以上に力強かった。