だって、君は俺の妻だから~クールな御曹司は雇われ妻を生涯愛し抜く~
「大丈夫、です。すみません。ちょっと昔の……怖い夢を……見て」
ただでさえ仕事から帰ってきて疲れている久弥さんに、なにをやっているの、私は。
内心で自分を叱責して奮い立たせる。
「お疲れのところ、ごめんなさい。おやすみなさい」
やや声が震えてしまったが、さっさと自室に戻ろうとする。けれど突然久弥さんに腕をとられ、そのまま抱きしめられた。
「そばにいてやれなくて悪かった」
顔は見えないが、耳元で神妙な声色で告げられる。久弥さんが謝る必要などひとつもない。
「平気ですよ。久弥さんにこうして会えましたから。元気もらえました」
いつも通り明るく返したものの久弥さんは腕の力を緩めない。今さらながら正面から抱きしめられたのは初めてだ。体勢も相まって、パジャマ越しに伝わる体温や肌の感覚は、いつも触れ合っているときの比ではないほどしっかりと感じられる。
「そういえば今日はまだ瑠衣に触れていなかったな」
どうしたのかと尋ねようとしたら、先に思わぬ発言が彼から飛び出す。
次の瞬間、足が床から離れ、視界が高くなる。
「え、え?」
動揺する私をよそに、久弥さんは歩を進める。子どもみたいに抱き上げられ、彼が向かったのはすぐそばの自室だ。久弥さんの部屋に入るのは初めてで、あまりジロジロ見てはいけない気がして伏し目がちに彼にしがみつく。
久弥さんの意図が読めず、心臓がバクバクと鳴りっぱなしだ。
ただでさえ仕事から帰ってきて疲れている久弥さんに、なにをやっているの、私は。
内心で自分を叱責して奮い立たせる。
「お疲れのところ、ごめんなさい。おやすみなさい」
やや声が震えてしまったが、さっさと自室に戻ろうとする。けれど突然久弥さんに腕をとられ、そのまま抱きしめられた。
「そばにいてやれなくて悪かった」
顔は見えないが、耳元で神妙な声色で告げられる。久弥さんが謝る必要などひとつもない。
「平気ですよ。久弥さんにこうして会えましたから。元気もらえました」
いつも通り明るく返したものの久弥さんは腕の力を緩めない。今さらながら正面から抱きしめられたのは初めてだ。体勢も相まって、パジャマ越しに伝わる体温や肌の感覚は、いつも触れ合っているときの比ではないほどしっかりと感じられる。
「そういえば今日はまだ瑠衣に触れていなかったな」
どうしたのかと尋ねようとしたら、先に思わぬ発言が彼から飛び出す。
次の瞬間、足が床から離れ、視界が高くなる。
「え、え?」
動揺する私をよそに、久弥さんは歩を進める。子どもみたいに抱き上げられ、彼が向かったのはすぐそばの自室だ。久弥さんの部屋に入るのは初めてで、あまりジロジロ見てはいけない気がして伏し目がちに彼にしがみつく。
久弥さんの意図が読めず、心臓がバクバクと鳴りっぱなしだ。