だって、君は俺の妻だから~クールな御曹司は雇われ妻を生涯愛し抜く~
顔を上げて彼を見ると、久弥さんは私の頭を撫でながらふっと微笑んだ。
「成功したとはいえ母親が大きな手術を受けた後だ。疲れや心配で悪い夢を見たんだろう。でもそれは夢だ、なにも心配しなくていい」
久弥さんの言い方がいつにも増して優しくて、目の奥が熱くなる。
手術が終わったあとの母は、意識もなく顔も真っ青だった。その姿が目に焼きついていて、大丈夫だとわかっていても胸のざわつきが収まらない。それが夢にまで影響するとは。久弥さんには見抜かれている。
呆れられるか、馬鹿にされるかと思った。いい大人がこれくらいで不安になってどうするんだって。ましてや彼は、夫とはいえ契約上だけの関係なのに。
「気持ちを切り替えたくて誰かのそばにいたくなるのも理解できる。……俺でも役に立てたのなら」
久弥さんは私の心を見透かしたかのようにフォローを入れてくれた。
胸が詰まりそうになり、彼の胸に顔をうずめて身を寄せる。
「私……目が覚めたとき、一番に久弥さんに会いたくなったんです」
彼の言い分を訂正したくて素直に白状する。誰でもよかったわけじゃない。会いたくて顔が見たかった。
久弥さんに手術や電話で気遣ってくれたお礼を改めて告げてから今日の話をして、お母さんは大丈夫だっていつもみたいに言ってほしくて……。
求めすぎだ。私にはそんな権利はない。これ以上望んだら、ばちが当たってしまう。
「成功したとはいえ母親が大きな手術を受けた後だ。疲れや心配で悪い夢を見たんだろう。でもそれは夢だ、なにも心配しなくていい」
久弥さんの言い方がいつにも増して優しくて、目の奥が熱くなる。
手術が終わったあとの母は、意識もなく顔も真っ青だった。その姿が目に焼きついていて、大丈夫だとわかっていても胸のざわつきが収まらない。それが夢にまで影響するとは。久弥さんには見抜かれている。
呆れられるか、馬鹿にされるかと思った。いい大人がこれくらいで不安になってどうするんだって。ましてや彼は、夫とはいえ契約上だけの関係なのに。
「気持ちを切り替えたくて誰かのそばにいたくなるのも理解できる。……俺でも役に立てたのなら」
久弥さんは私の心を見透かしたかのようにフォローを入れてくれた。
胸が詰まりそうになり、彼の胸に顔をうずめて身を寄せる。
「私……目が覚めたとき、一番に久弥さんに会いたくなったんです」
彼の言い分を訂正したくて素直に白状する。誰でもよかったわけじゃない。会いたくて顔が見たかった。
久弥さんに手術や電話で気遣ってくれたお礼を改めて告げてから今日の話をして、お母さんは大丈夫だっていつもみたいに言ってほしくて……。
求めすぎだ。私にはそんな権利はない。これ以上望んだら、ばちが当たってしまう。