契約彼氏とロボット彼女
第七章
発覚
ーーその日は突然訪れた。
沙耶香はコンビニに出勤していく颯斗を玄関まで見送った後、室内のゴミをまとめてアパートの向こう側の収集場までゴミ出しに行くと……。
「汚ったねぇアパートに暮らしてるな」
背後から心ない声が届いた。
声の元に振り返ると、そこには黒いシャツに白のパンツ姿でサングラスをかけてBMWに背中をもたらせている瞬の姿が。
沙耶香はゴミが崩れないようにぎゅうぎゅうと押し潰してカゴの蓋を閉めて無言でアパートへと戻ろうとしたところ、瞬に手首を掴まれた。
「おいおいおい! 人が呼んでるのに無視すんなよ」
「……用事は何ですか?」
「せっかく人気俳優の婚約者が出向いてやったのに、可愛げがないねぇ」
「呼んでませんから」
沙耶香は不機嫌に手首を振り払って部屋へ戻ろうとするが、瞬はすかさず手首を引いて足を引き止める。
険しい目つきで振り返ると、瞬は耳元に顔を近付けるとこう言った。
「俺さ、有名人だからイメージ悪くしたくないんだよね」
「じゃあ、朝っぱらからこんなところまで来なければいいじゃないですか」
「へぇ、俺にそんな生意気な口きいてもいいの?」
「それはどう言う意味ですか?」
「隠してもとっくにバレてるよ。いまその汚ねぇアパートで男と一緒に暮らしてるんだろ」
沙耶香は事実を突き止められたと気付いた瞬間、頭の中が真っ白になった。
身なりを一変させて行動範囲を狭めたにも拘らず、真実を知られてしまったのだから。