吐き出してメルトハート
「なにもぴんとこねーよ。なに?これも菓子メーカーの陰謀で?自分以外にも、しゃっくりが止まらなくて、さらには口からチョコが延々と出てくる人がいるかもって?」
「ひっく」
「しゃっくりで返事してんじゃねえ。んなびっくり人間になってんのはオメーだけだわアホ佐藤」
「あっ、急に叩かないでよチョコレートが」
通学路、となりを歩いていた幼なじみが呆れたようにわたしの背中を叩いたから。
しゃっくりとともに口からぽーんと飛び出したチョコレートをすんでのところでキャッチする。
家から持ってきたビニール袋はすでに半分がチョコレート色に染っていた。
「安吾くん見て、チョコいっぱい取れた」
「きのこいっぱい取れたみたいに言うな」
「口から出たチョコを食べて、また口から新しいチョコが出てくる。すごいよ安吾くん。永久機関が完成しちゃった。これでノーベル賞はわたしのも」
「ほとんど言わせちまったけどそれ以上は言うなよ。つーか俺が貸した漫画はよ返せや」
ちなみにチョコレートはきれいな状態で出てくるから食べる分には問題ないと思う。
まだ他の人にはあげてないけど、わたしは何個か食べた。