君とふたりで。
出逢い
「咲良、また明日ねぇ!!」
「ばいばーいっ」
今日は部活をやっていないあたしにとっては嬉しい、6時間目までの授業の日。
香織と唯は毎日放課後頑張っている。もちろんテニスを。
あたしは家に帰ってゴロゴロするだけで、青春時代を無駄にするように過ごしていた。
この日は何を思ったのか…
本屋に立ち寄ることにしたんだ。
もともと本を読むのが好きだっていうのもあるけど、8割は気分。
静かな雰囲気の本屋に入り、小説のコーナーで止まる。
最新刊面白いのあるかなぁ。
この時間帯はあまり人がいないため、周りを気にすることなく立ち読みに没頭できた。
「1050円になります」
愛想のない店員に多少イラッときたが、文句を言うことはなく、言われた通りの代金を払って出た。
何気なく携帯を開き、ディスプレイを見ると17:30を表示していた。
これから行く所もないし…帰ろうか。
ただ。家に帰っても、買った本を読むくらいしかなくて暇だ。
そういうことで、あたしは遠回りして行くことにした。