君とふたりで。
「黙って通り過ぎるとか良い度胸してんじゃん?」
度胸も何もない、早く逃がして!!
あたしは様子をうかがうように、その男を恐る恐る見る。
ワックスで遊ばせた赤茶色の髪
制服のズボンなのに上は違う服で。
整っていて大人っぽい、イケメンの部類だと思われる顔立ち。
…ギャル男?
「あの…す、すいません」
俯いてボソッと謝る。
ただでさえ男の人と喋れないのに、こーゆう人なんて尚更だ。
また怒鳴られるかと思い覚悟を決めると。
「ぶっ…」
頭上から何か聞こえてきた。
不思議に思って顔を上げると…
「ハハハッ!」
その人はこれまた豪快に笑っていた。
──は?
「マジ面白いわ!! そんな固まんなよ〜っ」
なぜか爆笑している彼。
状況についていけない。
だってさっきまで、睨みきかせて凄んでたよね?
「ハハッおっかしー…。あ、悪い悪い、あんまり純粋そうだからからかってみた!」
二重の目元が下がり、先程の印象とは随分違って見えた。
「はぁ…」