君とふたりで。




「やっぱいいよねぇ〜先輩!!」




…聞き覚えがあるわけだ。




あたしは香織と唯の話に耳を傾けながら考えた。



香織は大きな目をキラキラ輝かせて、窓の外に釘付けになっている。



授業中にも関わらずバイクの音が響く。


そして教室中はガヤガヤと騒がしくなっている。




「席に着いて!」




席を立って外を見ようとする生徒を落ち着かせようと、先生は必死だ。



外にはバイクで登校したらしい…あの人がいる。




「ったく…またあの生徒か」




先生は聞こえないくらいの声で呟いた後、




「静かに待っていて下さい!!」




と教室を出ていった。



より一層うるさくなる。



しばらく騒動を眺めていると、さっき出ていった先生が、例の問題児とやりとりするのが見えた。



「さっすがだわぁ」なんて、感心したような香織。



今考えてみれば…
ここらへんで制服をちゃんと着ないのは、この学校の生徒しかない。



つまりあの人──“裕矢さん”もその1人ということになる。



そして…




「冴えない3年よりよっぽどかっこいい!」




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