君とふたりで。



裕矢くんが突然提案した。



皆さんは賛成したようで、裕矢くんは携帯を取り出して誰かに掛け始めた。




「ハ〜ルちゃん出るかなー」




なんて鼻歌まじりに。




「お前キモいから!」


「裕矢はハル大好きだもんなぁ」




…話の流れからすると、どうやら彼女みたいだ。



まぁ彼女いてもおかしくはないだろうけど。




「…ぅわ、出た! ハル!? 俺だけど!!」




電話先の相手が出るのが珍しいらしく、驚いていた。




「今溜まってんだけど来ねぇ?
…あ? 顔見たくねー!?」




笑いを堪える先輩達。




「いや、今忙しいって…めっちゃ棒読みだし。早く来いよ!」




一方的に言うと、電話を切った。




「何してたん?」


「あの声は寝起きだろ」




“ハルさん”か。


どんな人なんだろう。


裕矢くんが好きになるって、相当な美人なのかなぁ?



想像を膨らませ、何気に楽しみにしている自分がいた。




期待していたけど、その人が来たのはだいぶ経った頃だった。


しかも、思いもしない形で。




< 26 / 102 >

この作品をシェア

pagetop