君とふたりで。
「え、彼女…??」
「ぶはっ!! ハルが彼女だったら俺怖いです」
「だって…」
さっきの流れからいくと…
と考えてみたけど、誰も“女”だとは言っていなかった。
つまり、裕矢くんの彼女というのはあたしの勘違い。
恥ずかしくて顔から火が出そうだった。
「咲良ウケる!」
ケラケラ笑っている。
ちっとも笑えない。
“ハルさん”はだるそうに歩いてくると、ドカッと腰を下ろした。
前に座ったから、顔がよく見えた。
ワックスで立った黒髪
薄く剃られた眉
筋の通った高い鼻
鋭い切れ長の瞳は、カラコンを入れているのか青っぽい。
一言で表現するなら──
《綺麗》
整いすぎてて近寄りにくく…冷たそうにも見えた。
どこか日本人離れしたような、ハーフみたいな顔立ちだった。
“ハルさん”はあたしを見ると
「誰?」と聞いた。
薄い唇から発せられた声は思ったより低くなくて。
意外と落ち着いた甘い声だった。
「あ、この子咲良ってゆーんよ。いじめんなよ!」
「…あっそ」