君とふたりで。
あたしは周りをぐるっと見渡す。
前の席の人…は、
“〇大絶対合格!”のハチマキを巻いていそうな、ガリ勉系男子。
その隣は、俯き加減で危なく暗いオーラを放出している女子。
隣は──
…って、ぅわッ!!!
この肌寒い時期に汗かいてるし。
肉ばっか食っていないで、痩せなさいっ!
はぁ…
先が思いやられるよ。
溜め息をついて再び辺りに視線を巡らす。
──あ、そーいえば。
あたしの後ろの席って、女の子じゃなかったっけ。
よし、思い切って話しかけてみよう。
「「あっあの!!」」
後ろを向いて声を上げると、その女の子もこちらに身を乗り出していて…
見事に言葉が重なった。
「あ…ははっ、ごめんなさい」
「ううん、全然★ ねぇ、名前なんてゆーの??
あたしは上田 香織〜」
「えっと。市川 咲良です!」
緊張気味に名前を名乗る。
…声はうわずっていなかっただろうか?
「本当はさっきから気になってたんだけど、なんか話しかけにくくてさっ」
香織は照れたように笑った。