君とふたりで。
詳しいも何も…中学の時、いっつも噂されていた。
“あの人に近づくな”
“目が合ったら最後”
みたいなことを言われていた、要注意人物だから。
他校の先輩だったから実際に会ったことはないけれど、相当悪い行いをしてきたらしい。
そっち方面に疎いあたしですら耳にしたことがある名前だ。
「…そ、その人、もしかして」
「この学校の生徒だよ?」
マジ…?
悪名高い人物は、とりあえず名前を書けば受かるだろうこの高校に来ている。
「でもさー私、入学してから一度も見たことないよ」
「もう1ヶ月以上経ったのにね」
その後もあたしは、今まで知らなかった“片岡先輩”の武勇伝を延々と聞かされた。
話から想像するしかなかったが…あたしの中では、
顔は物凄いイカツくて
頭は金髪でサイドに剃り込みなんか入れちゃったりして
常にナイフ所持してて
いわゆる…なんてゆーか、
…とにかく犯罪者のような風貌をイメージしていた。
だって、2人の話からするとどう考えても犯罪者にしかならないんだもん。