君とふたりで。
「今はだいぶと落ち着いちゃったけど、まだ恐れられてるみたいよ〜」
「まぁそれが普通じゃんね? 喧嘩強いし」
「事実上、学校のトップだし!」
2人はそんな話をしていた。
…絶対関わりたくないな。
あたしは改めてその先輩の恐ろしさを知った。
そして2週間が経った頃…。
みんなが部活に向かう中、1人で校門を出る。
一緒に帰る人がいないってゆーのはなかなか寂しいものがある。
けど、あたしと帰ってもつまんないだろうという諦めのような気持ちがあるので、誰かを誘って…なんて真似はしない。
「ふっ、だから友達少ないんだよな」
自嘲的な笑みを零し、帰路につく。
と、そこに。
「おねーさん1人〜?」
後ろから軽い口調で声を掛けられた。
「あ…裕矢くん」
「おひさー」
周りに人がいないのを確認してから、こちらに歩み寄ってくる。
…この人とは、学校で何度かすれ違ったことがある。
でも、一度も声を掛けてくることはなかった。