君とふたりで。
柔らかそうな黒髪はボサボサで、目はまだ完璧に開いていない。
彼の瞳は元々切れ長なので、尚更細く見えた。
いかにも寝起きって感じ。
「昨日はどちらのおねーさまと夜をお過ごしで??」
「おめーと一緒にすんな」
「俺は昨日美人な人妻と…」
「嘘だろ」
「は!? 嘘じゃねーし!!」
“ハルさん”は実際どうか分からないが。
裕矢くんはありえそうだ…。
「で、俺ら溜まってくけど。咲良はどぉ?」
…冗談じゃない。
こんな話聞かされて、ノコノコついていけるわけがない。
「あの…今日は遠慮しておきます」
「あら残念。また気が向いたら来てな♪」
2人は横に並ぶと、スタスタと歩いていった。
…本当に対照的な人達だ。
赤茶色の派手な髪と
染めていない黒い髪。
二重の甘いマスクと
切れ長の瞳に綺麗な顔。
誰とでも仲良くなれそうな性格
誰も近づけないオーラ
違いすぎる2人。
そして、そんな人達と
違いすぎるあたし。