君とふたりで。
それからも、あたしは今までと変わりない日々を過ごしていた。
…いや。
過ごす──はずだった。
この時期だっただろうか。
生活に変化が現れたのは…。
「咲良ぁ〜!!」
帰り支度をしていた時、誰かに名前を呼ばれた。
声の主は同じクラスの“チカ”。
香織や唯ほどではないけど、結構仲良くしてもらってる。
可愛い見た目のわりに賑やかな子で…部活はバスケ部。
「どしたん?」
チカは興奮気味に話し始めた。
内容は、憧れの先輩がどーのこーのっていう…
ノロケ、とはちょっと違うけど、そんな感じ。
「超〜かっこいいの!! しかも今日、一緒に帰る約束してもらったの!!」
「マジ!? やったじゃん! 部活はないの?」
「男バスもあるからその後♪」
「じゃああたし、待ってていい?」
「なんで!?」
だってあたし、人の恋の行方とか見守るの好きだし。
チカがそこまで頑張ったんだから、見てみたいじゃん。
2人で一緒に帰るとこ。
「えーどーしよっかなぁ」
「照れんなよっ」