君とふたりで。
「仕方ないなぁ、チカ様が特別に許可してあげようっ!」
「緊張してるくせに何様だよ!?」
「うるさーい!!」
一通りギャーギャー騒いだ後、チカは鞄を持って部活に行った。
その後ろ姿を目で追う。
少し…
ほんの少し、胸がチクリと痛んだ。
もちろん、憧れの先輩と帰れて羨ましい…というのもある。
けど、胸が痛んだのはそれだけが理由じゃないんだ。
放課後。
チカが体育館から出て来た。
ガラにもなくめちゃくちゃ緊張しているようで。
笑顔を作る余裕なんてなく、口の端が引きつっている。
…可哀相に。
「ちょっとチカさん!! 大丈夫!?」
「どどどどーしよぉ咲良! 先輩、玄関で待ってて、って…」
あたしが混乱した彼女を必死に落ち着かせている時。
例の“ショウ先輩”がやってきた。友達らしき人と一緒に。
「ほら、来たよっ」
背中をバシッと叩いて送り出そうとするが、先輩方は来る様子もなく。