君とふたりで。
「俺もそっち方面なんだ! 駅まで送るよ」
「え!?」
…昔からそうだったけど。
人見知りするあたしは、会ったばかりの人と仲良く喋ることなんてない。
しかも相手は男だ。
気まずいの嫌だなぁ…なんて考えている間に。
その人は隣でチャリにまたがり、あたしの歩調に合わせて少しずつ進んでいった。
普通なら、
やめてよ会話続かないじゃん!
って思うところなんだけど、緊張してそんな余裕もなくて。
ただ、沈黙にならないよう、必死に話題を探していた。
「ショウ先輩のお友達さんですよね」
「うん、仲良いから〜」
「あの2人うまくいきますかね?」
「そりゃいくだろ〜俺が協力してんだからっ」
冗談混じりに言ったその人に少し安心する。
「ところで名前なんてーの??」
あともうちょっとで駅、って所。
カラカラという自転車の音と重なる声。
「市川 咲良です」
「咲良ね」
「あなたはお名前…」
「かずき。沢田 一紀」
一紀さんか…。
「良かったらメアド教えてくんない?」