君とふたりで。
「これからなんか予定あるの?」
「えーと…あの〜」
モゴモゴと口ごもっていたその時。
「咲良??」
タイミングが良いんだか悪いんだか。
一紀さんが遠慮がちに名前を呼んだ。
今の気持ちを一言で表現するなら…
……って。とりあえず、この状況はヤバい。
香織と唯は口をポカンと開け固まっている。
そして──
「え? 沢田さん??」
「咲良、付き合ってるの!?」
あ、同じテニス部だから顔見知りか。
なんて納得している場合じゃない。
「マジで!?」
「ちょ、どーゆうこと!?」
予想通りの質問攻め。
一紀さんがいるから言いにくかったけど、とりあえずこうなったいきさつを説明した。
「なぁんだ、そーだったの!」
「じゃあお邪魔しちゃ悪いねっ!うちらは帰るから2人でごゆっくりぃ〜♪」
────
「俺あの子ら知ってる〜」
昨日と同じく、あたし達は駅にいた。
今日もまたお母さんが迎えに来てくれる。
「あ…お、同じ部活でしたよね」