君とふたりで。
サチは驚きつつも「あたしも頑張るからね!!」と、意気込んでいた。
始めは敬語だったけど、一紀さんが嫌だと言うのでタメ語に呼び捨てにすることにした。
メールも、今までは送られてこなかったような内容が送られくる。
好かれてるなぁ、とは思う。
思うんだけど──。
「じゃあ咲良、また明日なっ」
「うん」
「顔上げて?」
「いや、無理です…」
「また敬語んなってる」
「ごめん」
「…まだ無理?」
「ほんとにごめんね」
「ま、いーや! そのうちな」
一紀は頭をポンポン撫で、自転車に乗って帰っていく。
ほぼ毎日がこの繰り返し。
家に入ると、お母さんがきつい口調で、
「遅いじゃない! 連絡くらいよこしなっ」
これも、今日に始まったことじゃなくて。
まだ付き合い始めて1週間も経っていないが、その期間ずっと言われている。
公園に行って話していると、時間が過ぎるのが早いんだ。
「お父さんだって心配するし」
けどさ。あの人帰ってくるなりお酒飲んでるだけじゃん。