君とふたりで。

偽り






あれから約2週間が経とうとしていた。



今まで通り、みんなには知られないよう付き合っているあたし達。



まだまだ一紀のことは分からないけれど、優しいし気遣いがうまいってことは分かった。



初めてキスをしたのは公園。



特に良い雰囲気ってわけでもなく。…半ば強引とも取れるものだったけど。



あたしはこれが本当に本当の、つまりファーストキスだった。


だから適当なことは言えないけど…


一紀は慣れてるというか。なんとゆーか。



今まであたし以外に、5人の人と付き合ったことがあるらしい。



だから言い方は悪いけど。


あたしは、一紀には付き合うなんてお手のものなんだろうと思えた。




「女の子の扱い慣れてるの?」




いつものように公園に寄り道してお喋りしている時。



あたしは思ったことを、よく考えもせず口にしていた。



すると穏やかに微笑んでいた一紀の顔から笑顔が消え、明らかに不機嫌そうな表情になった。



今思えば、こうなるのは当たり前だったとも言えるが。




「なんで?」


「えっいや、なんとなく」




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