君とふたりで。
「…咲良にはそーゆうこと言ってほしくないんだけど」
あたし、やっぱ。
「ごめん」
──無神経だよね。
思ったことをすぐ言うから、気分悪くさせちゃうんだ。
相手のことを考えて喋ろうとすると、なかなかうまくいかなくて。
次第に口数も減ってくるし。
「まぁいーけど。あんま言わないでね、そーゆうの。俺は咲良だけなんだし」
「う、うん…」
恥ずかしい台詞をサラッと口にする一紀。
こんなあたしでも好かれてるのかな…。
一紀と付き合い始めてから、約3週間。
あたしはまだ慣れていなくて。
喋るのにも色々気を配ったり、男っぽい言葉遣いも極力避けたり。
付き合うのがここまで大変だとは知らなかった。
「咲良〜今日遊ばない?」
放課後になると、香織と唯が誘ってくれた。
「部活は?」
「「サボる」」
「あ…そっすか」
遊びたいがゆえに、部活までサボるのか。
あたしも家帰っても暇だから、別に咎めはしなかった。