君とふたりで。
遠慮がちに声を出したあたしの考えが分かったのか、
「あ、ごめんな。
俺、智史(さとし)ってゆーんだ! ハルと裕矢とはタメ。学校は違うんだけどね」
「智史さん…ですか??」
その風貌からは、“ハルさん”と裕矢くんと仲が良いということは想像出来ない。
落ち着いているし、雰囲気が違う。
あの2人は2人で対照的だけど、こちらは別の意味で正反対だ。
「裕矢達、今ここ来るよ」
「あ…いえ。そーゆうわけじゃないんで…」
そーゆうわけじゃないって、じゃあどーゆうわけでここを通ったんだろう。
少し期待していたくせに。
「ちょっとでいーから寄ってきな?」
「じゃあ…お邪魔します」
なんだろう、この人。
会ったばかりで喋ったこともないのに、あたしでも普通に話せる。
なんの力を持っているんだ?
そんなバカなことを考えつつ、溜まり場に足を踏み入れた。
しばらく智史さんと話していると、バイクの音が近づいてきた。
そして2台のバイクが入ってきた。
「あれ? 咲良じゃん!」