君とふたりで。



「まさか休みの日まで会うとはなぁ。運命感じちゃうわ」




全然そんな感じじゃない口調で、適当に言う裕矢くん。


智史さんは微かに笑っている。


“ハルさん”は煙草をくわえて火をつけた。



初めて会った時も思ったけど、動作1つ1つが絵になる人だ。



煙草を持つ指から、伏し目がちの瞳まで、何もかも──背筋がゾクッとするほど綺麗で。


あまり目線を上げないのをいいことに、思わず見入ってしまった。


みんなが騒ぐ理由が分かる気がする。




「困るんだよなーモテる男は〜」


「はいはい分かったから」




“ハルさん”は2人の話に入るわけでも、聞いているわけでもなく…
ただどこかをボーッと見つめていた。



たまに話しかけられると、「あ?…あぁ」と短く返事をしていた。



それに裕矢くんが「お前聞いてねーだろ!」とツッコミを入れていた。



成立しない会話を見て、なんとなく不思議な関係だと思った。




結構な時間話していると、あっという間に8時半。



家に連絡するの忘れてた!



携帯を見てみると、着信やメールの数がハンパない。




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