君とふたりで。
「それでもいーかもねっ」
賛成の意味を込めてか、声を上げて笑う唯。
やっぱりみんなやる気ないんだなぁ…なんて。
「てかさぁ、さっき“裕矢先輩”校門の前でバイクふかしてたんだけど!」
「えー? 学校来たんだぁっ」
180度展開が変わる2人の話を聞くのは大変だ。
今に始まったことでないけれど、たまにテンションについていけない時がある。
こんな風に思うあたしは、どこか冷めているんだろうか?
「…誰、ゆうや先輩って」
遠慮がちに質問してみる。
聞いたことない名前だったから。
すると2人は、これでもかってくらい大きく目を見開いて、驚愕の表情を作った。
「え…咲良、知らないの!?」
そんなに驚かれる理由が分からない。
「めっちゃ有名だよ! 噂聞いたことない!?」
「先輩はね、いろんな意味でヤバい人なんだよ〜」
「あ、でも“あの先輩”の方が危険じゃないー?」
「確かにねぇ!!」
…き、危険?
あたしの頭の中では情報が物凄い速さで整理されている。