君とふたりで。
……あれ、今笑ったよね?
ビビってるあたしを見て面白がってるのか?
「じゃ、そゆことで。安全運転頼むな!」
「…おう」
いつの間にか話が進み、ついにはバイクの前に。
身長に合ったサイズなのか、大きい。
「あの…ごめんなさい」
恐る恐る顔を上げ、思い切って話しかける。
それなのに。
「家」
「え?」
「どこ」
この人単語しか言わないなぁなんて思いながら、家の場所を答える。
思い切ったあたし、バカみたいだ。
エンジンの音が響き、体に振動が伝わる。
腕のやり場に困って「どこ触ればいーの!?」なんて変態的なことを考える。
“ハルさん”はそんなあたしの手首を掴み、自分のお腹辺りに引き寄せた。
─ドキッ…
心臓が音を立てる。
「あとさぁ」
手首は掴まれたまま。
「なるべく人通り少ないとこ教えてくんね?」
“ハルさん”は首だけ振り返った。
薄暗い電灯に照らされた横顔があまりに綺麗で…
見惚れてて返事をするのを忘れそうになった。