君とふたりで。
3章 知らない過去





あたしはその日から、よく溜まり場に行くようになった。


もちろん人に見つからないように気をつけて。



誰かを誘う、なんてもってのほか。口外さえしなかった。


だって、「約束」したし、それに。


誰かに言うような真似はしたくなかった。


「秘密」にしておきたかった。


相変わらず香織や唯の話に出てくる、ハルや裕矢くんと、集まっていることを。





そして今日、放課後。


先生に雑用を任されたので、遅くまで残っていた。



どうやらあたしは、「雑用を任せやすい人」らしい。


しょっちゅう頼まれ事をされる。


断れないから仕方ないのかもしれない。



頼られるのは嫌いじゃないし、別にいいんだけど…。



仕事は思ったよりもはかどらず、自分の要領の悪さを痛感した。



息抜きに、校内にある自販機でジュースを買う。


100円を入れてしばらく静止。


どっちにしようかなーなんて悩んでいると。



後ろから近づいてきた、独特な足音がピタリと止まり…


見覚えのある手が伸びてきた。




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