君とふたりで。
正確には、見覚えがあるのは
“手”ではなく、右手の“中指にはめられたリング”…だったんだけど。
あたしが振り返るより先に、ガコンという音がした。
つまり、缶が落ちてきたということで…
「おい!?」
当然、ボタンを押した人物──かがんで缶を取り出すハルに、勢いよくツッコんだ。
「こんな時間まで何やってんの」
ツッコミを無視し、長い指で蓋を開ける。
「あ、雑用…?」
疑問系で答えるあたし。
…って、そーじゃなくて!
「それっ…」
「あぁ、今財布ねぇから。後で返す」
ガックリと肩を落とした。
でも、こんな所で会えるなんて思っていなかったせいか、無意識に口元が緩んでしまう。
…嬉しい…のだろうか。
自分でもよく分からなかった。
ただ、緊張していることは確かで。
「ハルはどーしたの?」
声が震えるような気がした。
「勉強道具取りに来た」なんて、絶対嘘だろ!的な答えを返してくれた。
たぶん説教か何かだと思った。
「まだ帰らねぇのか?」