君とふたりで。



ホチキスでプリントを留めながらなんとなく情けない気持ちになった。


こんな地味な女嫌だよね。


…てゆーかあたし。何考えてるんだろう。


どう思われようがなんだっていいはずなのに。


なんでこんなに気になるの?



ハルは作業を見つめたまま口を開こうとしなかった。


やっぱり何を考えているか分からなかった。


あの青い瞳は、なんでも見透かしそうな気がして、ろくに顔も上げられなかった。







10分くらいしてようやく終わった。


プリントを先生に渡し、帰り支度。


誰もいない玄関に行くと、雨が降っていることに気がついた。


バイクで来たらしいハルは忌々しそうに空を見つめていた。


どうやら家は遠いらしく、電車で帰るしかないようだ。




「あたし傘あるよ!」




透明の安っぽいビニール傘を出してみせる。


ハルは「あぁ…」と曖昧な返事をすると、それをスッと抜き取った。



“あたしは迎えに来てもらうから、駅までそれ使って行って”



そういう意味で傘を差し出したつもりだった。


ハルもそういう意味で受け取ったと思った。




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