俺だけのもの。とらないで
『今年こそチョコちょうだい』
『いいかげんうるさいからあげる。放課後、教室に残っといて』
なんてメッセージを送ってしまう私は、本当に可愛くない。
あいつがそれを許してくれるってわかってるから。
あいつの優しさに甘えてるから、どうしてもひねくれたことしか言えない。
……でも、チョコを渡すときくらいは、素直で可愛い子になりたい。
勢いと後悔と、緊張と愛しさと。
ぐるぐる回って、心の中が忙しくて。
パンクしそうな頭を外の冷たい空気で冷やそうと、窓を開けたとき。
「好きって……? よかった、嬉しい」
そう言って笑みを零した幼なじみが、女の子の頭を撫でているのが上から見えた。