②推しのマネージャー志望です!

玲央さんまで…八代瑛茉のことを?

玲央さんこと高木玲央は、璃人さんと同じグループのメンバーで、昨年の合同ライブの個人ランク1位のアイドルだ。

「そっか、玲央くん元気かな?近いうちに顔出せそうだったら会いに行くね。…というか、璃人くんと玲央くんなら私なんかいなくても、もう既に超人気アイドルだし、大丈夫でしょ?」

満面の笑みでそう答える彼女に対して。

「そうだな…」とつぶやき、少し寂しそうに微笑む璃人さんの表情からは、八代瑛茉のことを大事にしている気持ちがヒシヒシと、伝わってきて僕は戸惑いを隠せなかった。

「さてと、今日はうちの心雨くんの実力、見せつけてあげるからね!璃人くんも覚悟して?ね、心雨くん?」

「…!!えっと…頑張り…ます」

急に話しを振られ、なんと答えていいのかわからずおずおずと当たり障りない返答をする僕。

だって、あの璃人さんにこんなに大事にされてるし…。あぁ、もう。八代瑛茉って一体何者なんだよ…。

益々、深まる謎に僕は心の中でため息をこぼす。

けど。

『…いい、璃人くん?SAISONは私が絶対人気グループにしてみせる!来年には璃人くんのグループ追い抜くつもりだからね』

そう彼女が答えたことはまぎれもなく、本心だと感じた。

…少しは信用してもいいのかな?

未だに璃人さんと談笑している彼女を横目で見つつ、僕は1人そんなことを考え始めていたのだった。
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